寿々屋
着物で
お出かけしたくなる

私らしいおしゃれを探しに

有限会社 寿々屋
代表取締役
二代目 川住栄一郎
昭和三十年生

横川本通り商店街のほぼ中央に位置する「寿々屋」。川住社長と、妻の伸恵さんが話してくれたのは、「ファッションとして気軽に纏える着物」のこと。販売はもちろん、呉服屋の誇りを持ちながら人生の大切な時を彩るにふさわしい、質の高いレンタル着物も提案。日常をクラスアップする着物で、和装の世界に浸りながら新しいおしゃれを楽しむのはいかが?

市内中心部から
下町風情残る横川へ

昭和三十九年に、中区の橋本町で父が創業。その二年後、胡町に店舗を構えました。父はもともと着物好き。自分が好きな着物を商売にできたらと始めたようです。昭和四十六年、横川に店舗兼住居を求め現在の場所へ。当時の横川は、種物屋さん、植木屋さん、花屋さん。そのようなお店が多く集まっていました。特に安佐南区方面に住む農家さんが種を仕入れ、日常のものを買うには、とても便利な立地だったんです。市内中心部に行くのは大変ですが、県北部の方には訪れやすい。過去、横川には、市場もありました。買い物ができ、食べて飲んで、賑やかで楽しめる。今も昔も、横川は人情味溢れる活気ある街ですね。

覚悟を決め
大阪へ四年間の修業生活に

長男として生まれた私です。父親が一生懸命商売を頑張っている姿を見て、「父についていかなければ」という使命感を持ちました。自分なりに「私が継がないと、この店は畳んでしまわないといけない」と考え、後を継ぐ思いが強かったですね。京都を知ることは大切だと考え、大学は立命館大学経営学部へ。卒業して、大阪の呉服屋さんで三年の丁稚奉公、更にお礼奉公を一年。六畳と四畳半の狭い部屋に、各地から来た丁稚が四人。朝から夜遅くまで働き、着物の勉強をする。休みもお金もほとんどありません。エアコンも暖房も何もありません。まるで修行僧のようでしたね(笑)。途中音を上げて家に帰った子もいますが、同じ世代の子たちと励まし合い、支えあいました。それに、この世界に覚悟を決めて入ったのです。「やるしかない」そんな気持ちでした。

伝統と新しい価値を融合
レンタル着物もスタ

計四年間大阪で過ごした後、帰広。店に入りました。大阪と広島の商売は違います。最初は、戸惑う部分もありましたね。大阪でやってきた経験を、少しでも反映できたらと思い、少しずつ自分のカラーも出しながら、先代の良いところも取り入れていきました。それまでの呉服店は、お客様の繋がりから新たなお客様へご紹介をいただくケースがほとんど。しかし大阪は、知らないエリアを常に開拓していく傾向がすごく強かった。私は上手に喋れるほうではなかったので苦労しましたね(笑)。飛び込みの営業を増やし、少しでも若い人に着物に触れていただくため、平成に入る前にレンタル事業を始めました。自利利他の精神をもって日々邁進することも忘れません。自分の幸せが他人の幸せにもなる、他人の幸せが自分の幸せにもなる。売り手の都合で商いをするのではなく、お客様に心の底から満足してもらえることを大切に。かつ商いを通じて地域の発展や福利の増進に貢献できたらと思っています。

先代の教えと共に
グロバルに伝える日本文化

昭和五十八年に主人と結婚。私は洋服関係の仕事に就き、少しの間デザイナーをしていたんです。しかし和服と洋服では、業種が全く違うので、一からの勉強でした。先代の母からは、「呉服店は女性がしっかりと守らないといけない」とよく言われていましたね。父を支え、お客様に対して細かく気を配り、最後まで神経をはりめぐらせ頑張っていた母の存在は大きいです。私はまだ母のようにできていないと思います。まだまだ学びの段階です。着物の魅力は、海外の方にも広く伝わっています。私の弟がアメリカで大学教授をしている関係で、日本文化を学ぶカリキュラムの一つとして、海外から生徒を何十人もお連れし、全員にお着付けすることがありました。国籍が違っても、大変喜んでいただける。着物は、全世界に喜ばれる、華やかで重みのある日本だけの文化だと思います。

着物は
コミュニケションツルの一つ

和服の形は一つですが、色や柄でその人の個性が出ます。ワンパターンのような気がしますが、実は違う。高い安いにこだわらずに、自分が着て楽しければいいんです。着物は親のものを着ても、小物を変え、工夫して自分のものにしていく。組み合わせは千差万別です。それに着物は、形が無くなるまで何十年も使えます。昔の方は、着物がすり切れてしまうと、部位や用途を変えて、仕立て替えをして大切に着ていました。着物を着る喜びや幸せを感じていただくのはもちろんですが、たまに箪笥から出して眺めてみるのもいいですよ。宮参り、七五三、十三参り、成人式、結婚式、葬儀。人生の節目において、「あの時、あの人は、こんな着物を着ていたよね」と親子や身近な人、大切な人同士で会話のきっかけを作り、思い出をなぞることができる。着物には、人と人を繋ぐ力があると思います。

ファッションとして
ラフに着る着物

気軽に着物に触れていただきたい。そのために当店ではレンタルも行っています。一度でも袖を通して、着物の楽しみをわかっていただきたい。着物は高いもの、自分には縁のないものだと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。自分が楽しくなるよう、構えず気楽に、自由に着てもらいたいです。特別なものではなく、今日は洋服で明日は着物というような習慣ができればいい。着物を着ていると、必ずといっていいほど振り返られます。民族衣装なので着ていて当たり前なのですが…。その振り返られる理由が珍しさからではなく、「あの着方いいね」って思っていただけるような環境になればいいですよね。私たちは着物の御用聞きです。なんでも気軽に話せ、相談できて、コーディネートを提案できる呉服屋さんです。「箪笥の肥やし」という言葉がなくなる日がくるよう、伝統を継承していきたいと思っています。

寿々屋

〒7330011
広島市西区横川町二の五の六 メゾン寿々屋 一階

電話番号/0822317793
FAX/0822317794
営業時間/九時三十分から十九時
定休日/水曜